調査結果
6.子どもを持つこと
子どもの有無
回答者1038人のうち、子どものいる方は61人(5.9%)であり、そのうち、実子は59人(96.7%)、養子は2人(3.3%)でした(図6-1、図6-2)。また、子どものいる方61人の属性は、【性別】男性57人(93.4%)・女性4人(6.6%)、【セクシャリティ】ゲイ31人(50.8%)、バイセクシャル20人(32.8%)、ヘテロセクシャル9人(14.8%)、【年代】20代1人(1.6%)、30代8人(13.1%)、40代25人(41.0%)、50代以上27人(44.3%)でした。
一方、子どものいない方976人のうち、HIV陽性を理由に子どもを持つことを諦めた経験のある方は272人(27.9%)でした(図6-3)。
子どものいない方のうち、子どもを欲しいと思っている割合は265人(27.2%)であり、その希望(複数回答)は、実子208人(78.5%)、養子117人(44.2%)、里子78人(29.4%)でした(図6-4)。また、子どもを持つことを希望している方の属性は、【性別】男性252人(95.1%)・女性10人(3.8%)、【セクシャリティ】ゲイ204人(77.0%)、バイセクシャル48人(18.1%)、ヘテロセクシャル11人(4.2%)、【年代】10代1名(0.4%)、20代49人(18.5%)、30代103人(38.9%)、40代89人(33.6%)、50代以上21人(7.9%)でした。
子どものいない方のうち、HIV陽性であっても子どもを持つ方法があることをよく知っていると回答した方は185人(19.0%)である一方、まったく知らないと回答した方は341人(34.9%)となっていました(図6-5)。
子どもを持つことによる変化
子どものいる方61人に、子どもを持ってよかったことを尋ねたところ、「子どもを持つことの喜びを感じられたこと」といった回答がもっとも多く、次いで、「夫婦の絆が強まったこと」、「自分自身への肯定的な変化があったこと」といった意見がみられました(図6-6)。一方、子どもを育てるにあたっての不安や苦労を尋ねたところ、「自身のHIV感染の子どもへの説明」といった回答がもっとも多く、次いで、「HIVに関連して、自身のセクシャリティを伝えることになるかもしれないこと」、「子どもや自分自身へのHIVに関連した差別・偏見」といった意見がみられました(図6-7)。
また、第1回の調査においても、子どもを育てるにあたっての不安や苦労を尋ねたところ、「自身のHIV感染の子どもへの説明」の回答が多くみられたため、今回の第2回調査では、子どもに自身の HIV 陽性を具体的にどのように伝えたかまたは伝えていない場合はその理由を自由記載で尋ねました。
その結果、41人より回答を得、子どもにHIV陽性を伝えた方は5人(12.2%)、HIV陽性を伝えていない方は36人(87.8%)でした。子どもへの伝え方としては、「ゲイ・HIV陽性の友人と一緒に会う機会を増やしたり、HIV啓発やHIVについて子どもがどう認識しているかを聞いてみたりして、最終的には自身の書いた患者としてのブログを見せた」、「時間を作り、病気に関する知識と私自身の感染事実を説明した」などがありました。
一方、HIV陽性を伝えていない方36人のうち、今後伝える予定と回答した方は3人(8.3%)、今後伝えるか悩んでいる(未定)と回答した方は11人(30.6%)、「伝えなければいけない理由も伝える事によりメリットも無いので、今後も伝えるつもりは無い」、「自分の父親がHIVと知ったら絶望するだろうから」、「自分のセクシャルティーを知られたくない」などの理由から、今後も伝える予定はないと回答した方は22人(61.1%)でした。