調査結果
4.恋愛・性の健康
性生活
この1年間のセックスの頻度は、「月に2~3回」の236人(22.7%)ともっとも多く、次いで多いのが「まったくしていない」が182人(17.5%)でした。
これまで同性とセックスしたことがある人は1007人(97.0%)であり、その割合を性別で見ると、男性では98.4%、女性では25.0%でした。
今の性生活に「おおいに/まあ満足している」人は465人(44.8%)。それに対し「あまり/まったく満足していない」人の割合は572人(55.2%)でした(図4-1)。第1回調査にくらべて「おおいに/まあ満足している」割合は10.4%多くなっていました。
特定の付き合っている人・配偶者との関係
特定の付き合っている人・配偶者がいる人は455人(43.8%)でした。そのうちこの1年間に相手とセックスしたことがあるのは249人(54.7%、以下同様に原則として455人中の%)でした。また相手の人数は1人が392人(86.2%)であり、61人(13.4%)は相手が2~7人と複数でした。主な相手の性別は415人(91.2%)が男性。回答者の性別からみると、女性12人では相手は全員男性、男性442人では91.0%が相手も男性でした。
その相手との関係についてみますと、期間が0年~35年であり、平均値6.4年、中央値(ちょうど真ん中の値)4年。相手のHIVステータスは陽性108人(23.7%)、陰性257人(56.5%)、わからない89人(19.6%)。相手との関係を「今後もずっと続けていきたい」「どちらかというと今後も続けていきたい」が、あわせると436人(95.8%)となっていました。
その相手にHIV陽性ということを伝えていたのは339人(74.5%)でした。相手に伝えてみて「とても/どちらかといえば良かった」のは296人(87.3%、以下同様に原則として339人中の%))でした。 伝えた理由としてもっとも多かったのは「大切なことなので相手に伝える必要があると思ったから」で79.4%、次いで多かったのが「今後、相手にHIV感染させてしまう可能性があるから」で40.4%でした(表4-1)。
n | % | |
---|---|---|
大切なことなので相手に伝える必要があると思ったから | 269 | 79.4% |
今後、相手にHIV感染させてしまう可能性があるから | 137 | 40.4% |
相手にHIV検査を受けてもらいたかったから | 74 | 21.8% |
HIV陽性者に対する差別や偏見があまりない相手だと思ったから | 61 | 18.0% |
HIVに対する理解がない相手とは付き合えないと思うから | 57 | 16.8% |
体調が悪くなり、伝えざるをえない状況になったから | 51 | 15.0% |
HIV陽性であることがわかれば、相手といい関係が築けると思うから | 49 | 14.5% |
相手がHIV陽性者なので、同じHIV陽性者同士で理解しあえると思ったから | 48 | 14.2% |
伝えるタイミング(時間や場所)が見つかったから | 26 | 7.7% |
相手からHIV感染したかもしれないと思うから | 23 | 6.8% |
治療を受けウイルス量が低いため、相手にHIV感染させるリスクはないと思うから | 19 | 5.6% |
自分への世話や面倒をしてもらいたいから | 13 | 3.8% |
孤立していてさびしかったから | 12 | 3.5% |
HIVを伝えることで、相手があなたから離れてほしいと思ったから | 9 | 2.7% |
その場のノリで | 6 | 1.8% |
HIVの薬や身体障害者手帳を見られたり問い詰められたりしたから | 5 | 1.5% |
また相手に伝えるときに工夫した点についてもっとも多かったのは「HIV陽性と伝える適切なタイミングを待った」で23.6%、次いで多かったのが「伝えたい内容や言葉を事前に整理したり、シミュレーションしたりした」で15.0%でした。「特に工夫はしなかった」人も38.1%いました(表4-2)。
n | % | |
---|---|---|
HIV陽性と伝える適切なタイミングを待った | 80 | 23.6% |
伝えたい内容や言葉を事前に整理したり、シミュレーションしたりした | 51 | 15.0% |
相手の人柄やHIVに関する知識・イメージがどんなものか様子を見て、大丈夫そうだと思って伝えた | 46 | 13.6% |
HIVの薬を飲んでいるところや通院するところを隠さなかった | 28 | 8.3% |
持病があって医療機関に通っていることだけをまず伝えた | 24 | 7.1% |
HIVやエイズについての話題をさりげなくしてみて反応を見た | 22 | 6.5% |
医療機関に一緒に行き医師や看護師から説明してもらった | 21 | 6.2% |
HIV検査を受けないかと誘ってみた | 13 | 3.8% |
HIVやHIV陽性者の生活に関する冊子などの資料を相手の身近に置いた | 7 | 2.1% |
他のHIV陽性者の経験談を参考にした | 6 | 1.8% |
HIV陽性の知り合いに同席してもらった | 1 | 0.3% |
特に工夫はしなかった | 129 | 38.1% |
恋愛についての考え
図4-2のように、HIV陽性であることで、恋愛に踏み込めないでいる人は半数以上にのぼっていました。また、実際に付き合っていた相手や付き合いそうになった相手とHIV陽性であることが原因でうまくいかなかった経験を持っている人も2~3割近くいました。
その場限りの相手とのセックス
その場限りの相手とのセックスがこの1年間にあったとする人は728人(全体の70.1%)。セックスの回数は1~1000回で、平均値22.2回、中央値10回。年間で50回を超える人も115人いました(その場限りの相手とのセックスがこの1年間にあった728人中15.8%、以下同様に原則として728人中の%)。
相手の性別がすべて男性であったのは710人(97.5%)。回答者の性別からみると、男性では718人中97.6%が相手も男性でした。相手のHIVステータスは「ほぼ全員陽性」15人(2.1%)、「一部陽性」125人(17.2%)、「陽性者はまったくいない」30人(4.1%)、「まったくわからない」557人(76.5%)。
相手に陽性であることを「ほぼ全員に」「一部に」伝えた人は171人(23.5%)。これを相手のHIVステータス別にみると、相手がほぼ全員陽性の場合86.7%、一部陽性の場合76.8%、に比べて、陰性の場合33.3%、陽性か陰性かわからない場合は9.3%と低くなっていました。 その場限りの相手にHIV陽性ということを伝えた理由としてもっとも多かったのは「相手がHIV陽性者なので、同じHIV陽性者同士で理解しあえると思ったから」で45.0%(以下同様に原則として171人中の%)、次いで多いのが「大切なことなので相手に伝える必要があると思ったから」で38.6%でした(表4-3)。
n | % | |
---|---|---|
相手がHIV陽性者なので、同じHIV陽性者同士で理解しあえると思ったから | 77 | 45.0% |
大切なことなので相手に伝える必要があると思ったから | 66 | 38.6% |
その場のノリで | 35 | 20.5% |
HIV陽性であることがわかれば、相手といい関係が築けると思うから | 30 | 17.5% |
HIV陽性者に対する差別や偏見があまりない相手だと思ったから | 29 | 17.0% |
治療を受けウイルス量が低いため、 相手にHIV感染させるリスクはないと思うから | 25 | 14.6% |
伝えるタイミング(時間や場所)が見つかったから | 25 | 14.6% |
HIVに対する理解がない相手とは付き合えないと思うから | 13 | 7.6% |
相手にHIV検査を受けてもらいたかったから | 8 | 4.7% |
相手からHIV感染したかもしれないと思うから | 5 | 2.9% |
HIVの薬や身体障害者手帳を見られたり問い詰められたりしたから | 4 | 2.3% |
体調が悪くなり、伝えざるをえない状況になったから | 2 | 1.2% |
孤立していてさびしかったから | 2 | 1.2% |
伝えずに関係を持つ事は良くないと思ったから | 1 | 0.6% |
特定のセックスパートナーとのセックス
特定のセックスパートナーとのセックスがこの1年間にあったとする人は451人(43.4%)と、特定の付き合っている人・配偶者、およびその場限りの相手と比べると、中間に位置する割合でした。セックスの回数は1~100回で、平均値12.4回、中央値6回。年間で50回以上の人は27人(特定のセックスパートナーとのセックスがこの1年間にあった451人中6.0%、以下同様に原則として451人中の%いました。特定のセックスパートナーの数は1人~100人で、平均値4.1人、中央値2人でした。
その相手の性別がすべて男性であったのは438人(97.1%)でした。回答者の性別からみますと、女性6人のうち5人は相手が男性、男性では440人中97.3%が相手も男性でした。相手のHIVステータスは「ほぼ全員陽性」43人(9.5%)、「一部陽性」88人(19.5%)、「陽性者はまったくいない」58人(12.9%)、「まったくわからない」261人(57.9%)でした。
相手に陽性であることを「ほぼ全員に」「一部に」伝えた人は205人(45.5%)。これについても、相手のHIVステータス別にみると、相手がほぼ全員陽性の場合95.3%、一部陽性の場合87.5%、陰性の場合72.4%に比べて、陽性か陰性かわからない場合は17.2%と低くなっていました。 特定のセックスパートナーにHIV陽性ということを伝えた理由としてもっとも多かったのは「大切なことなので相手に伝える必要があると思ったから」で48.8%(以下同様に原則として205人中の%)、次いで多かったのが「相手がHIV陽性者なので、同じHIV陽性者同士で理解しあえると思ったから」で39.5%でした(表4-4)。
n | % | |
---|---|---|
大切なことなので相手に伝える必要があると思ったから | 100 | 48.8% |
相手がHIV陽性者なので、 同じHIV陽性者同士で理解しあえると思ったから | 81 | 39.5% |
今後、相手にHIV感染させてしまう可能性があるから | 39 | 19.0% |
HIV陽性であることがわかれば、相手といい関係が築けると思うから | 34 | 16.6% |
HIV陽性者に対する差別や偏見があまりない相手だと思ったから | 22 | 10.7% |
相手にHIV検査を受けてもらいたかったから | 19 | 9.3% |
その場のノリで | 19 | 9.3% |
治療を受けウイルス量が低いため、 相手にHIV感染させるリスクはないと思うから | 18 | 8.8% |
HIVに対する理解がない相手とは付き合えないと思うから | 17 | 8.3% |
伝えるタイミング(時間や場所)が見つかったから | 14 | 6.8% |
相手からHIV感染したかもしれないと思うから | 10 | 4.9% |
HIVの薬や身体障害者手帳を見られたり問い詰められたりしたから | 5 | 2.4% |
HIVを伝えることで、相手があなたから離れてほしいと思ったから | 3 | 1.5% |
体調が悪くなり、伝えざるをえない状況になったから | 2 | 1.0% |
自分への世話や面倒をしてもらいたいから | 1 | 0.5% |
孤立していてさびしかったから | 1 | 0.5% |
セックスに関連した諸経験:性感染症
これまでに罹患したことがある性感染症として1割以上の方があげたものを多い順に並べると、梅毒200人(19.3%)、毛じらみ182人(17.5%)、B型肝炎116人(11.2%)、尖圭コンジローマ107人(10.3%)となっていました。