Futures Japan HIV陽性者のためのウェブ調査

調査結果

6.子どもを持つことについて

回答者913人のうち、子どものいる陽性者は56人(6.1%)であり、そのうち、妊娠前にHIV陽性が判明している上で、妊娠・出産したものは15人(26.8%)であった。

また、子どものいない陽性者854人のうち248人(29.0%)は、今後、自分の子どもを欲しいと考えていた。自分の子どもを欲しいとする人を、回答者の性別でみると、男性27.5%(823人中226人)、女性67.9%(28人中19人)であった。またセクシュアリティ別では、ヘテロセクシュアル49.2%(63人中31人)、ゲイ・レズビアン23.9%(699人中167人)、バイセクシュアル54.7%(75人中41人)が、自分の子どもを欲しいと回答していた(図6-1)。

図6-1 子どものいない陽性者のうち、「子どもを欲しい」と考えている割合
(%、全体:n=854 ゲイ・レズビアン:n=699 バイセクシャル:n=75 ヘテロセクシャル:n=63)
図6-1 子どものいない陽性者のうち、「子どもを欲しい」と考えている割合(%、全体:n=854 ゲイ・レズビアン:n=699 バイセクシャル:n=75 ヘテロセクシャル:n=63)

しかし、子どものいない陽性者のうち、人工妊娠等の方法で、陽性者でも自分の子どもを持つことができるという十分な知識を持っていたものは18.5%であった。また、子どもを欲しいと考えている陽性者においても、その割合は、24.2%(248人中60人)であった。

また、子どものいない陽性者のうち25.6%は、子どもを持つことについて医療スタッフから相談・情報提供を受けたいと考えていた(図6-2)。その希望する内容は、「子どもへのHIV感染」18.7%、「子どもが感染した際の治療・予後」11.9%、「抗HIV薬の子どもへの影響」11.6%、「人工妊娠等に伴う母体への負担」12.6%など、出産に伴う母児への影響についての内容が多かった。しかし、実際の医療現場で、医療スタッフとの相談・情報提供を受けた経験のあるものは、わずか10.0%にとどまった(図6-3)。医療スタッフとの相談・情報提供を受けた経験のあるものを、回答者の性別でみると、男性8.9%(823人中73人)、女性42.9%(28人中12人)、セクシュアリティ別では、ヘテロセクシュアル20.6%(63人中13人)、ゲイ・レズビアン7.4%(699人中52人)、バイセクシュアル20.0%(75人中15人)であり、男性あるいはゲイ・レズビアンの陽性者において相談・情報提供の機会が、極めて少ない傾向がみられた。

図6-2 医療スタッフより相談・情報提供を
受けたいと考えている割合(%、n=854)
図6-2 医療スタッフより相談・情報提供を受けたいと考えている割合(%、n=854)
図6-3 医療スタッフより相談・情報提供を
受けた割合(%、n=854)
図6-3 医療スタッフより相談・情報提供を受けた割合(%、n=854)

子どものいる陽性者に子どもを持つことに関心のある陽性者へのメッセージ(自由記載)を求めたところ、「子どもがほしいというのは当然の思いです。サポートもあるので、決断してしまえば何とかなります。」「まずは医療機関のプロに相談することが一番の解決法です。」「産めると思います。」「出産はゴールではなくスタートだから、環境はなるべく整えておいた方が良いと思う。」「諦めずに前向きに頑張ってください」。「陽性者だから…と、苦労や心配はない。自分は、子どもがいたことで、人生は豊かになったと思う。」「子供が居ると、生きる喜びが増します。」「生き甲斐になります。」など、子どもを持つことに過度の不安を抱かず、陽性者が前向きに検討できるような、励ましのメッセージが多数寄せられた。