Futures Japan HIV陽性者のためのウェブ調査

調査結果

2.健康状態

HIV陽性とわかったときの状況

HIV検査が行われた場所は、図2-1のように、第1回調査結果と概ね同じ結果となり、病院(外来)と保健所の両方で約半数を占めました。その他残りの半数も前回調査と同様に、病院(入院中)、常設のHIV検査所、クリニック・診療所など多岐にわたっていました。また、保健所、HIV検査イベント、郵送検査キット、自己検査キットについては第1回調査結果と比べ、その割合が減少しました。

図2-1 HIV検査が行われた場所(n=1038)
図2-1 HIV検査が行われた場所(n=1038)

HIV検査を受けた都道府県については、東京都が最も多く385人(37.1%)、ついで大阪府155人(14.9%)、愛知県68人(6.6%)、神奈川県49人(4.7%)、福岡県41人(3.9%)、北海道40人(3.9%)の順でした。

HIVの感染経路は、同性間性的接触が953人(91.8%)、異性間性的接触が32人(3.1%)、同性か異性かわからない性的接触が15人(1.4%)で、性的接触によるものは合わせて1000人(96.3%)を占めました(図2-2)。性別でみると、男性1010人では、同性間性的接触が93.5%、異性間性的接触が1.6%、同性か異性かわからない性的接触が1.4%、注射針の共用が0.8%、血液製剤が0.5%、輸血が0.3%、一方、女性20人では、異性間性的接触が80.0%、同性間性的接触が5.0%、同性か異性かわからない性的接触が5.0%、母子感染が5.0%となっていました。男女合わせた全体での結果を第1回調査と比較すると、同性間性的接触の割合が増加し、異性間性的接触、同性か異性かわからない性的接触、血液製剤などの割合が減少しました。

図2-2 感染経路(n=1038)
図2-2 感染経路(n=1038)

現在の健康状態

慢性疾患の罹患についてたずねたところ(図2-3)、アレルギー疾患(アトピー性皮膚炎、花粉症など)が242人(23.3%)と一番多く、次いで精神・神経疾患の146人(14.1%)、歯や口腔内の疾患の106人(10.2%)、高脂血症の99人(9.5%)、肝炎の98人(9.4%)、と続いていました。一方、慢性疾患はないと回答したのは352人(33.9%)でした。慢性疾患の罹患を第1回調査と比べると、上位5疾患は同じでしたが、肝炎が前回の11.8%より減少したという特徴がありました。

図2-3 慢性疾患の罹患(n=1038, 複数回答)
図2-3 慢性疾患の罹患(n=1038, 複数回答)

ここ数日の病気やけがなどによる自覚症状について、46項目を示してあてはまるものを複数選択してもらったところ(図2-4)、自覚症状がひとつもないと回答したのは289人(27.8%)であり、その他はいずれかの自覚症状を訴えていました。自覚症状として多かったのが、体がだるい268人(25.8%)、肩こり258人(24.9%)、腰痛200人(19.3%)、眠れない174人(16.8%)、かゆみ(湿疹・水虫など)163人(15.7%)でした。

なお、挙げてもらった中で最も気になる自覚症状をひとつ選択してもらいましたが、上位にあがっていたのは、体がだるい(99人)、肩こり(66人)、眠れない(58人)、かゆみ(湿疹・水虫など)、発疹(じんま疹・できものなど)でした。

ここ数日の病気やけがなどによる自覚症状について第1回調査結果と比較すると、下痢が、第1回調査結果の22.9%から14.4%へと大幅に減少していました。一方で、もっとも気になる自覚症状では、かゆみ(湿疹・水虫など)41人や発疹(じんま疹・できものなど)38人が、第1回調査結果と比較すると増加した症状でした。

参考までに、平成28年の一般住民対象の国民生活基礎調査の結果(入院者は含まない)では、男性では腰痛、肩こり、せきやたんが出る、鼻がつまる・鼻汁が出る、手足の関節が痛む、が、女性では肩こり、腰痛、手足の関節が痛む、体がだるい、頭痛、が上位の自覚症状となっていました。これらと比較するとHIV陽性者では、体のだるさや不眠、かゆみが多くなっていました。

現在の健康状態については、50.5%が「よい/まあよい」と回答し、33.3%が「ふつう」、16.0%が「あまりよくない/よくない」と回答していました。第1回調査と比較すると、「よい/まあよい」が、47.8%から50.5%に少し増え、「あまりよくない/よくない」は19.9%から16.0%へと減少していました。

図2-4 病気やけがなどによる自覚症状(n=1038, 複数回答)
図2-4 病気やけがなどによる自覚症状(n=1038, 複数回答)

CD4、ウイルス量、エイズ発症(図2-5~2-7)、現在の健康状態

最新のCD4細胞数は313人(30.2%)が651個以上でした。第1回調査と比較すると651個以上の回答者の割合が前回より多く、200個以下の方の割合は減っていました。最新のHIVウイルス量(HIV-RNA)は734人(70.7%)が検出限界未満であり、前回(54.5%)よりも検出限界未満が多くなっていました。

AIDS発症については、255 人(24.6%)が医師からの診断を受けていました。また、医師からの診断は受けていないがAIDS発症していると思うという方は34人(3.3%)でした。706 人(68.0%)は、AIDS発症したことはないと回答していました。

図2-5 CD4細胞数
図2-5 CD4細胞数
図2-6 血中ウイルス量(n=1038)
図2-6 血中ウイルス量(n=1038)
図2-7 AIDS発症の状況(n=1038)
図2-7 AIDS発症の状況(n=1038)

歯の健康

現在残っている歯は何本かをたずねたところ(さし歯や金属をかぶせた歯も自分の歯に含めます)、0本0.3%、1~4本0.9%、5~9本1.5%、10~19本9.0%、20本以上88.2%でした。

入れ歯(義歯)を使っている人は5.2%、ブリッジ(取り外しできない入れ歯)は14.8%、インプラント(人工歯根)は3.2%、入れ歯類を使っていない人は78.4%でした。