Futures Japan HIV陽性者のためのウェブ調査

調査参加に向けてのメッセージ Photo by LESLIE KEE

HIV Futures Japanプロジェクトの第2回ウェブ調査の実施にあたり、数多くの著名人の撮影を手掛け世界的に活躍するフォトグラファーのレスリー・キー氏、「OUT IN JAPAN」の関係者、そしてHIV陽性者6名の協力を得て、調査参加に向けてのメッセージを掲載することができました。

いうまでもなく、セクシュアリティ、性別、感染経路などを問わず、HIV陽性であることを周囲の人に伝えることをめぐる事情は、ひとりひとり異なります。しかし、HIV陽性であることを伝えても不利にならない社会の実現のためには、やはり当事者の声をカタチにして発信していくことが、何よりも必要不可欠です。

HIV陽性者の「自分らしくより健康的な生活の実現」と「暮らしやすい社会環境づくり」に向けて、第2回ウェブ調査に、ぜひあなたの声を反映させてください。

※「OUT IN JAPAN」は、日本のLGBTをはじめとするセクシュアル・マイノリティにスポットライトを当て、市井の人々を含む多彩なポートレートを様々なフォトグラファーが撮影し、5年間で10,000人のギャラリーを目指すプロジェクトです。

Out in Japanのサイト : http://outinjapan.com/


Ricky 48歳

治療は日進月歩で良くなって行くのに、何かが置き去りにされているような気がします。

生き辛さや閉塞感は相変わらず陽性者に付き纏います。

他にも病気はたくさんあるのに、どうしていつまで経ってもこの病は特別な扱いを受けるんだろう。

日常で「小さな嘘」をつくことを余儀なくされている人は少なくないでしょう。

誰かに頼っているばかりでは、自分が生きやすい環境はなかなか実現出来ません。

「見えないもの」は「いないもの」にされてしまう社会。

自分達が確かにここで生きていることを、自分達の出来る方法で示す…

その先に、もっと自分らしく生きることが出来る世界がある気がします。

調査に参加することで、見えなかった陽性者の姿が世に現れます。

リアリティや想像力に欠ける社会に、一つ石を投じてみませんか?

今の自分を知ってもらうことで、何かを変えるきっかけになるかも知れません。

人はみな、自分らしく生きる権利があります。

そして幸せになる権利があります。

HIV/エイズがタブーではなくなる日を目指して。


ガク 40歳

「現在、陽性者のあいだにアンディテクタブル/[U]という新しい自己アイデンティティが生まれている」。

2014年国際エイズ会議で出会った陽性者からはじめてこのことを聞いた。意味は「ウィルスが検出できない状態」、つまり他の人に感染させることは、もはやほぼゼロってことだ。

かれは続けて、「だから、ぼくたちはもはや感染源ではない。むしろ現在先進国における流行は、検査を受けずに自分が陰性か陽性かも知らない人たちのあいだで生じているのでは」という。

この瞬間、自分は「他の人にうつしてしまう存在なのではないか」とセックスのたびにつきまとってきた不安がはじめて軽くなったことを、今でも覚えている。

だから、ちょっと勇気を出して、あるアプリのプロフに「165:87:38(当時)[U]」と書いてみた。わかる人はわかるという意味で、「カミングアウト」ではなく「示唆」という戦略。それ以来、「ポジなんですか?自分もです。」っていうメッセージがきて仲良くなった人もいるし、真逆に急に疎遠になった人もいる。

正直いうと、陰口ばかり叩くクソのようなやつがはっきり見えたこと、自然に自分から遠ざかっていってくれたことが良かったって思う。得たなかで何よりもかけがえのないことは、一緒にいてくれる友達や好きな人に心から感謝できるようになったこと、そして自身が行なっている面接調査で出会った人と本音で話せる関係を得たこと、だから本当にカミングアウトしたいことは、かれらへの「ありがとう」という言葉だったりする。

表面を取り繕わなければ生きづらい社会よりも、自分を正直に出せて本音を言い合える関係や社会の方が生きやすいと思う。そのためには、まずは自分自身とみんなの本音がわからなければ何も始まらない。向き合うことは少ししんどいし時間もかかるけれど、これまでのこと、そしてこれからのことを第2回「HIV陽性者のためのウェブ調査」で考えてみよう。

今あなたが答えることで未来の大きな力が生まれる、と信じている。


高久 陽介 40歳

中学生のときは、自分が男なのに男が好きだなんて、「誰にも言えない」と思った。高校生のときは、親に隠れてゲイ雑誌を読んでいた。大学生になっても、ハッテン場でセックスをしたりするだけだった。隠れるようにして生きていた、ゲイとしての自分。

それでも、社会人になった頃から、新宿二丁目で遊ぶようになって、ゲイの友達もたくさんできるようになると、いつのまにか孤独感や寂しさはなくなった。

24歳のときに、好きな人ができた。二度目のデートのときに、彼から「俺、HIVに感染してるんだ」と打ち明けられた。それまで、HIVなんてまったく身近な話じゃなかった。いまでこそ、ゲイの20人に1人は感染していて、僕らの間では珍しくない病気になったけれど、当時の僕の周りには、カミングアウトしてる人なんていなかった。

それでも、自分自身にも思い当たることはあるし、彼の気持ちを理解したいという気持ちもあって、保健所で検査を受けることにした。結果は、陽性だった。

まず思ったのは「誰にも言えない」だった。また、あの頃と同じ日々を過ごすのだろうかと…でも、しばらくして考えは変わった。もし彼が大事な秘密を打ち明けてくれなかったら、僕も自分の病気に気づくことはできなかったと思う。その勇気を、無駄にしてはいけないんじゃないか?

…あれから15年が経つ。いまでは、ゲイであることも、HIV陽性であることもカミングアウトして、講演活動をしたり、同じ病気の人たちのための交流会を開催したりしている。講演を聴いた人からは「ゲイの人に会うのも、HIVの人に会うのも初めてだけど、案外フツーの人だった」そんな感想をよく受け取る。交流会に参加した人からは「やっと、HIVのことを隠さずに本音で話すことができた」と言ってもらえる。

カミングアウトしなきゃ伝わらないことって、絶対あると思うんだ。


長谷川 博史 64歳

感染が判ってから幸い発症する事も無く25年が経ちました。感染当初は患者仲間を年に何度も見送る苦しい日々が続きました。当時のHIV感染症は死と隣り合わせの病だった事も事実です。

そんな中で僕が希望を持てたのは担当医の「なんでセックスを諦める必要があるんだい? 安全にやればいいんだよ」のひと事でした。

HIV性感染症である事で自分の性の有り様を否定してみたり、死の病のイメージに押しつぶされそうになっていた所に、自分が直面する現実を客観視して自分の性の有り様を改めて問いなおさせる言葉でした。

「病とは何か?」
「健康とは何か?」
「性とは何か?」
「自分とは何者か?」

そんな自問を繰り返すうちに「HIVに感染していても健康」「自分は自分」と思え、ゲイである自分をありのままに受け止めるようになったのです。 性の有り様も健康の認識も人それぞれに異なるもの。そして異なったままで何の不都合も無いのです。

あなたはあなたのままでいい。


佐藤 郁夫(右) 57歳 (左 よし(50歳/HIV-))

HIV/エイズは、未だに社会では差別と偏見にさらされている。会社を解雇になったり、受診拒否にあったり、恋愛が上手くいかなかったり…。そのことがHIV陽性者の生きづらさに繋がっていると感じる。Futures Japanの調査は、第1回目で913人のデータを分析することができた。しかし日本のHIV陽性者の約3%のデータに過ぎない。第2回目の調査にあたって、より多くの陽性者の声が反映されるように願っている。

僕は2010年のEテレに顔出しした。きっかけになったのは、HIVに感染したことを家族が受け入れてくれなかったために、治療ができるにもかかわらず、治療拒否をしていたストレート男性との出会いだった。こんな社会ではいけないと思った。もっとHIV陽性者の姿が見えることで、感染前と同じように生きられることを、必要以上に怖がらなくても良いことを、感染ルートが限られていることを、早期発見すれば治療ができることを、SEXや恋愛や結婚ができることを、子供を産むことだってできることを、知って欲しいと思った。

今回の調査では、日本のHIV陽性者の30%の人たち、8,000人くらいの回答が得られれば、大きな流れになり、社会を動かすきっかけになるのではないかと考えている。ぜひみなさんの力を結集して、達成して欲しい。一人一人の声がきっと大きな力になる。口コミが一番強いので、一人でも多くの人たちにこの調査のことを伝えて欲しいと願っている。


田口 周平 36歳

HIVと一緒に過ごすようになって、もう十数年が経ちました。

僕にとってはHIV陽性者であることはいままで負のアイデンティティであって、隠し続けることが当たり前になっていました。

ですが、陽性者であることで多くの人とつながり、手を差し伸べてもらうことができました。人生について、生きるという事について、諦めないということについて、考える機会をたくさん持つ事ができ、前向きに生きる事の大切さと喜びを再び手にする事ができました。

この調査は、僕たち陽性者が日頃どんな事を考え、何に不安を抱え、そしてどう生きていきたいと考えるかを大きな声にして届けるチャンスだと考えています。

声を上げる事、意思を表明することで、僕たちの生活は少しずつ変わっていきます。そのための手段として、僕はこの調査への参加を皆さんへ呼びかけます。

僕たちが自分らしい生活を取り戻す事、そして前向きに生き続けることは、私たちを日頃から支えてくれている人たちへの大きな恩返しです。

ぜひ参加してください。僕たちの声をいろんなところに届けましょう。


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